その他の豆知識

六曜(大安・仏滅など)について

中国においては、時刻の吉凶占いに用いられていましたが、日本に伝来してからは、日の吉凶を判断する方法として用いられるようになりました。

【六曜の吉凶】

先勝(せんしょう) 先手必勝。急ぐこと吉。午前は吉、午後は凶。
友引(ともびき) 引き分け勝負なし。祝い事吉。葬式等仏事に凶。
先負(せんぷ) 後手有利。急ぐこと凶。午前凶。午後は吉。
仏滅(ぶつめつ) 祝い事は控える。仏事には吉。
大安(たいあん) 万事に吉。ただし有頂天は禁物。
赤口(しゃっこう) 万事控えること。ただし、昼前後は吉。

【お祓(はら)いを受けるその日が吉日】
日の吉凶(良し悪し)にはさまざまな見方があり、大安でも悪日があれば、仏滅でも良い日の場合があります。最良の日など年に数えるほどしかありません。現代のようにきぜわしく、しがらみが多い世の中では、日の吉凶にこだわり過ぎると事は進みません。人生儀礼や住まいに関するお祭りに際しては、日にばかりこだわって、お祓(はら)いをされないとなれば本末転倒です。神社では、昔から「お祓いを受けるその日が吉日」といわれています。

「神」と「ほとけ」

民俗学の世界では、亡くなってから間がない人や、不慮の事故、異状死を遂げた人は「ほとけ」と呼ばれても決して「かみ」とは呼ばれません。
しかし、死の穢(けが)れの清まる期間を経て、(三十三年、地方によっては五十年)弔(とむら)い上げを済ませた「ほとけ」は「かみ」となるのです。
「ほとけ」はひとの個性がまだ残っており、この世に未練がありますが、死者から個性が消え、祖霊として一括される神性を獲得すると無条件に子孫を包み込む神と昂(たかま)っていくのです。
ここで重要なのは、人の御霊(みたま)は、歳月の経過によって、浄化されるとともに、家族をはじめ人々からの「まつり」を受けることによってさらに浄化と昇華をし、神格性を持つということです。稲魂(いなだま)を育て、水を配り、子孫の生活を温かく見守る守護神・氏神となるのです。

お彼岸やお盆は元々 神道の行事?

仏教が日本へ伝来したのは六世紀半ば頃といわれていますが、この時に伝わってきた仏教は、インド発祥の本来の性格とは異なり、中国・朝鮮など経由してきた地域の影響を色濃く受けたものでした。
その後、我が国の神祇(じんぎ)信仰や祖先祭祀(さいし)の影響を受け、これを取り入れたために、仏教は日本の宗教の一つとして、広範に普及することができました。
「彼岸会(ひがんえ)」という言葉は、世界最古の小説ともいわれる「源氏物語」にも見られることから、かなり古くから行われてきた行事と思われますが、実は我が国での「先祖まつり」は、かなり以前から行われていました。古事記・日本書紀にも皇祖(こうそ)の御霊(みたま)をまつった例が見られ、現在でも宮中では、歴代天皇(れきだいてんのう)の霊をまつる行事(春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)・秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)が厳粛に行われています。
このようにお彼岸は、仏教渡来以前からの日本古来の祖霊信仰が深く根づいているのです。「お彼岸」は、今日ではお墓参りをして先祖の供養(くよう)をする日とされています。
ところが、こうした行事の意味を知らずに、休日であるからといって結婚式を挙げたり、行楽に出かけたりする方を最近多く見受けますが、このようなことは慎まなければなりません。春・秋の中日は、お墓参(はかまい)りをしてご先祖さまをお慰めし、感謝をする大切な日であることを忘れてはなりません。

お盆と正月は同じ行事?

お盆(ぼん)の行事は、旧暦七月十五日を中心とする、元々は祖霊(それい)をおまつりする日本古来の神道の行事で、現在では新暦の八月に行う地方もあります。
各家庭のご先祖さまが「精霊(しょうりょう)」として帰ってこられるのをお迎えし、手厚くもてなすために、盆棚(ぼんだな)を飾り、提灯(ちょうちん)をともし、門口に迎え火を焚(た)き、花や手料理を供えて、家族皆でご先祖さまをお慰(なぐさ)めします。盆踊りも精霊をお慰めする行事の一つなのです。
ところが、仏教を布教(ふきょう)するため、日本古来の七月の祖霊祭(それいさい)に、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を結びつけたために、現在では仏事であるかのように思われているのです。
きわめて古い時代の日本では、旧暦の一月十五日と七月十五日ごろの満月を中心として、年に二回、神さまのご来臨(らいりん)を願い、祖霊(それい)の祭りを行っていました。
私たちは、大層にぎやかな時、あるいは楽しい時には「盆と正月がいっぺんに来たようだ」などと表現しますが、実は「お正月」は、祖先神(そせんしん)や歳神(としがみ)さまといった「神々」をお迎えして行う「お祭り」であり、一方「お盆」は、祖先神までには昂(たかま)っていない「精霊(しょうりょう)」をお迎えして行う「お祭り」なのです。ともに、感謝と祈りを捧げるための対(つい)をなすお祭りです。
それゆえに、お盆の行事とお正月の行事は、ほとんど共通する要素からなっています。