鳥居(とりい)
「鳥居」は神社の象徴となっていますが、これは神社の入口に建つ一種の門であり、神さまの聖域と人間世界との境界を示すものです。
大きな神社では、たいがい二つ以上の鳥居がありますが、その場合は外側にある鳥居から順に一(いち)の鳥居(とりい)・二(に)の鳥居(とりい)・三(さん)の鳥居(とりい)と呼んでいます。
鳥居の起源については、はっきりわかってはいませんが、古事記の「天岩戸開(あまのいわとびら)き」では、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が岩戸に隠れたとき、鶏(にわとり、常世(とこよ)の長鳴き鳥)を止まり木で鳴かせたところ、それによって大御神が岩戸から出てこられたことから、以後神前には鶏の止まり木をつくるようになり、それが鳥居になったといわれています。また語源については「通り入る」とか「鶏が居る」と書いて「鶏居」という言葉が変化したものと言われています。
普通、鳥居の構造は、二本の柱と柱の上に乗せた「笠木(かさぎ)」と、その下に水平に通された「貫(ぬき)」という横木からなっています。材質は、古くから檜や杉などを用いた木造でしたが、後世には石造り・銅造り・コンクリート造りなどもできました。また、一見したところ同じように見える形にも、神明(しんめい)鳥居・鹿島(かしま)鳥居・春日(かすが)鳥居・八幡(はちまん)鳥居・明神(みょうじん)鳥居・稲荷(いなり)鳥居などの種類があります。
ご神木(しんぼく)
その神社だけに生育している木であるとか、神社にゆかりのある木、ひときわ目立つ巨木あるいは老木を「ご神木」としておまつりしています。ご神木にはしめ縄を張ったり、柵をめぐらしているところもあります。また、ご神木を御神体としている神社もあります。古来より、ご神木は神さまの宿る所であるとか、神さまの降臨するところとされています。ご神木の種類としては、常緑樹の杉や松、榊(さかき)などがあり、中でも榊は代表的なご神木とされ、神事にも多く用いられています。
ご神体
ご神体とは、神さまの御霊(みたま)がお鎮まりになる大切なもので、「依り代(よりしろ)」ともいいます。山や川・石など自然の造形物から、鏡・刀・曲玉(まがたま)など人工の造形物まで千差万別です。有名なところでは、富士山や那智の滝などがあげられます。三種の神器もご神体の一つです。
神社の本殿にまつられているご神体は、人には見えないほうが清浄で奥ゆかしくて、ありがたいと考えることから、一般に見せるようなことはしません。
直会(なおらい)
直会は「直(なお)りあう」からきたといわれます。祭典中の緊張した特別の状況から、気持ちを解きほぐし、平常の状態に戻すための大切な行事です。
神さまにお供えした神饌(しんせん)を、祭典終了後にお下げして、皆でいただきます。神さまのお供えをいただくことは、神さまの力をわけていただく、また神さまの力を授かることにもなります。
厄祓(やくばらい)などのご祈祷(きとう)の際にも、簡略化された直会として、御神酒(おみき)をいただくことが一般的ですが、これは日本酒が神饌の中でも最も重要な米から造られるものであり、その場ですぐにいただくことができるため、直会の象徴としておこなうのです。
神饌(しんせん)
神饌とは、神さまにお供えするお食事、食べ物のことをさします。音読して「しんせん」といい、古くは「みけ」と言いました。お祭りを行う場合に大切なことは、神さまに新鮮な状態の神饌をお供えすることなのです。
神饌には、調理しない生のままの生饌(せいせん)と、火を加えて調理した熟饌(じゅくせん)の二つがあります。かつてはどちらも行われていましたが、現在では生饌(せいせん)をお供えすることが多く、特別なお祭りを行う神社では熟饌(じゅくせん)をお供えすることもあります。
神饌の種類は、まず一番大事なものが米で、次に酒、餅、海の魚、川の魚、野鳥、水鳥、海藻、野菜、果物、菓子と続き、最後に塩、水などですが、お祭りの大小によって品目や数が変わります。
お祭りでは、神さまをお迎えしたら饗応(きょうおう)といって、おもてなしをします。昔の祝詞(のりと)をみても、海川山野のたくさんの珍しい食べ物を山のように盛り上げてお供えしたことがうかがえます。
祝詞(のりと)
儀式にあたり、神職が皆さんに代わって神さまに申し上げる言葉です。
神さまをたたえ、お祭りの趣旨や皆さんのお名前と願い事などをお伝えする内容になっています。
ご神紋(しんもん)
各家庭の家紋と同じようにそれぞれの神社にも紋章が用いられており、これを神紋(しんもん)と称しております。
神紋の成立に関して、いくつかに分類することができます。
まず一つは、神社に縁の深い神木などの植物、祭器具などを模したものが神紋として用いられる場合で、大神(おおみわ)神社の「神杉」などを例にあげることができます。
二つ目は、伝説や伝承に基づくもので、菅原道真公をまつる天満宮の「梅紋」は、道真公が生前に梅の花をこよなく愛でたという伝承により、神紋として用いられたものといわれます。
三つ目は、家紋から転用されたもので、これは歴史上の人物をおまつりする神社に見られるものです。徳川家康公をおまつりする東照宮では、徳川家の家紋である葵の紋が神紋となっています。
このほかにも、さまざまな紋様が用いられており、人々の篤い信仰と歴史的背景をしめす象徴ということができます。
神籬(ひもろぎ)
榊に紙垂をつけたものが一般的で、神さまをお迎えする場所(依代)となります。
榊(さかき)
生命力あふれる常緑樹には神さまが宿ると考えられ、古くから神事に用いられてきました。神さまと私たちとの境を示す「境木」、栄える「栄木」が転じたともいわれます。
注連縄(しめなわ)
そこが神聖な場所であることを示すものです。大根のような形をした「大根注連(だいこんじめ)」、牛蒡のように細い形の「牛蒡注連(ごぼうじめ)」があり、紙垂を挟み込んで使います。神棚に大根注連を張る場合は、一般的に向かって右側に太いほうがきます。
玉串(たまぐし)
榊などの常緑樹の小枝に紙垂を付けたものです。神さまに拝礼するさい、玉串に真心を込めて捧げます。