手水の作法について
参拝するときには、まず鳥居の前で衣服を整え、軽く一礼してから境内に入ります。次に手水舎の水で両手を清め、口をすすぎます。このことを「手水を使う」といいます。これには両手を清め、口をすすぐことにより、心(魂)も洗い清めるという意味があるのです。
自分で手水を使うときの作法は、①まず右手で柄杓を持って水を汲み、左手にかけて左手を清めます。②次に柄杓を左手に持ち替えて、同じように右手を清めます。③再び柄杓を右手に持ち、左の手のひらに水を受け、その水を口にふくんですすぎます(このとき、柄杓に直接口をつけることは誤りです)。④口をすすぎ終えたら、もう一度水を左手にかけます。⑤最後に水を入れた柄杓を立て、柄に水を流してから柄杓置きに伏せて置きます。
手水奉仕を受けるときの作法は、まず両手で水を受けて、両手を清めます。次にもう一度両手に水を受けて、その水で口をすすぎます。そして、さらに両手で水を受けて、再び両手を清めます。最後に拭紙で口を拭ってから手を拭います。
参拝の作法について
まず鳥居をくぐる前に軽く一礼をします。次に手水舎の水で両手を清めて、口をすすぎます。神前に向かう道を参道といいますが、その中央は正中といわれ、神さまの通り道とされているので、そこを避けて歩くことが神さまに対する礼儀とされています。賽銭箱に賽銭を入れたあとに、二拝二拍手一拝の作法にて拝礼します。
これが参拝の基本作法ですが、二拝二拍手一拝の前後に軽く一礼を加えていただくと、いっそう丁重な作法になります。
初穂料(はつほりょう)
神前に金銭や食物・お酒などをお供えするときの表書きには、「御神前」「御供」「玉串料」「御榊料」「上」「奉献」「奉納」などが用いられますが、神社でのご祈祷や地鎮祭などの のし袋には「初穂料」と書くのが一般的です。
初穂とは、その年に初めて収穫されたお米のことです。もともと最初に収穫された稲穂を、感謝をこめて神さまにお供えすることを意味していましたが、後に穀物以外にも初めて収穫された野菜・魚・獣などにも用いられるようになり、さらにお米の代わりにお供えする金銭にも、使われるようになりました。
ご祈祷(きとう)
神社で行われる恒例のお祭りに対し、個人の祈願をするお祭りをご祈祷(私祭)といいます。社殿でお祓いを受け、祝詞(のりと)を奏上していただき、祈願を込めたお神札やお守りを頂戴します。
祈願の内容は、家内安全・商売繁昌・交通安全・大漁満足・身体健全・厄除け・方位除け・安産祈願・初宮参り・七五三・合格祈願・良縁祈願・必勝祈願など多岐にわたります。ご祈祷には、願い事をする祈願と、祈願が成就したお礼をする報賽(ほうさい)の二つに大別されます。「困ったときの神頼み」といいますが、お願いをしたままで御礼参りをしないのは、失礼なことです。
お賽銭(さいせん)
お賽銭5円でいいの? お賽銭のはじまりは、神前にお米をまく「散米(さんまい)」や、洗ったお米を紙に包んでお供えする「おひねり」といわれています。
参拝者がお祓いの意味で、命のもとである米を捧げたり撒いたりしたのです。このお供えは、時代が下るにしたがって、米の代わりにお金をお供えするようになりました。これを「散銭(さんせん)」といいます。それを後に「賽銭」というようになりました。
お賽銭は、お参りする前に賽銭箱にいれてお供えします。お賽銭やお供え物を神さまに捧げることは、日々お守りいただいていることを感謝する心の表れとして、あるいはお願い事を叶えていただくためのお祈りのしるしとしてお供えするのです。
よく「ご縁がありますように」などと語呂合(ごろあ)わせで、5円玉をあげるものだと思っている人が多く見受けられます。しかし、昔から願かけの際には「身削り(みけずり)」などと言って、自分の生活を切り詰めて、贅沢(ぜいたく)をがまんしてお賽銭を上げました。お賽銭の額は、その人のお気持ちで結構ですが、神さまに上げられたお賽銭は、神殿の修理や境内の整備などに使われます。皆さんが生まれ育った地域の鎮守の森と神社は、皆さんのお賽銭によって支えられていることをお忘れなく。
おみくじ
おみくじは、個人の運勢や吉凶を占うために用いられ、種類もいろいろあります。その内容には、吉凶判断・金運・恋愛・失せ物・旅行・待ち人・健康など生活全般にわたる内容がしるされています。神さまのお諭(さと)し(大御心、おおみこころ)として、その内容を今後の生活指針としていくことが大切なことです。おみくじを境内の木の枝に結び付けているのをよく目にしますが、凶のおみくじは木の枝に結び収め、吉のおみくじはお守りとして持ち帰るのが一般的です。おみくじの順番は、大吉・中吉・小吉・吉・末吉・凶・大凶という並び方が標準です。
おみくじの凶を引いたとき
おみくじは吉凶のうらないであり、おみくじの中の歌により、今後の進み方を知ることもできることから、その時々年々の指針を決めることに使われます。
ところで凶とは、占ったことが吉よりも勢いのないことを示します。
しかし、たとえ、大吉が出ても、吉は凶にかえるといって油断は禁物ですし、また凶が出てもやがて吉がやってくるわけですから、落ち込むことはありません。おみくじの凶を引いたときには、神さまにご守護をお願いし、自分でも注意するとともに、何事も今まで以上に努力してみてください。
おみくじと木の枝
木々のみなぎる生命力にあやかり、願い事がしっかり結ばれますようにとの祈りを込めて、人々はおみくじを木の枝に結びますが、その結ぶという行為そのものに、私たちの祖先は神秘的な力を信じていたのです。そして、現在でもその伝統は生き続けています。
境内の木々はすべて御神木です。「おみくじ結び所」を設けていますので、そこへおみくじを結びつけて、さらなるご加護をお願いしたり、あるいは心願が達成するまで、おみくじに記されている教訓を戒める意味で持ち歩き、そののちに神社へお礼を込めて納めるのが最も良い方法です。